日本では働く人たちが仕事に対してストレスを感じることが多いです。「仕事はイヤなもの」という考えの人もいるよね。これにはいろんな理由があるけれど、外国の人たちにも似たような状況があるかもしれません。
この記事ではなぜ日本の人たちが仕事に対してストレスを感じやすいのか、その理由を知ることができますよ。このような考え方にいたる文化的な背景について知ると、日本で働くときにはきっととっても役立つはずですよ!
2021年7月に厚生労働省が「労働安全衛生調査(実態調査)」の中で明らかにしたところによると、1年間でこころの健康が悪くなって1ヶ月以上仕事を休んだり、仕事をやめたりした人たちの割合は10.1%もいるんだ。
調査は7,831か所の会社や7,426人を対象にして行われました。だからこのデータはなかなか信じられるデータだといえそうですね。
この調査では仕事に関して「とてもストレスを感じることがある」と答えた人が53%以上もいたんだ。 その人たちが感じているストレスの原因は、「やらなきゃいけないことが多すぎること」や「責任があること」、そして「仕事の中身が難しいこと」などがおもな理由としては挙げられているよ。
日本という国では、「こころの健康に関する問題が起こりやすい」と一般的にいわれているのは知っている? その理由のひとつとして、日本人は「がまんすることはいいこと」と考える文化があるせいといわれています。
でもなぜ日本人はがまんを大切にするんでしょうね? じつはそれは昔からのお坊さんたちの教えである仏教(ぶっきょう)や、両親から教わる儒教(じゅきょう)の影響があるからなんだ。
日本では「仏教」という宗教が広まっていて、その考え方がたくさんの人たちに影響を与えているんですね。
仏教では「欲しいものがあったり苦しいことがあったりするときに、がまんすることが大切だ」って教えているんだよ。これは欲しいことをがまんすることで、「こころが穏やかになって苦しいときも辛抱強くなれる」という考え方があるからなんだ。
儒教の考え方も日本の大切な価値観に影響を与えています。
儒教では「社会の中でみんながきちんと暮らせるように、家族や仲間に対して責任を感じることが大切だ」といっています。がまんすることもみんなが仲良く暮らすために必要なんだ、と考えられているわけですね。
日本では、みんなが仲良く協力して生活することが大切だと思われています。個人の気持ちやわがままを抑えて、みんなでいっしょに調和を大切にするのが特徴だね。 その中で「がまんすること」はみんなが協力して仲良くするために大切なことだと考えられているんだね。
日本には「武士」っていう勇敢な人たちがいました。
彼らは苦しいことや難しい状況でも、冷静で勇敢に立ち向かうことが大切だと考えていました。そのためにはがまんすることがとても重要だったんですね。その武士たちの考え方や昔からの文化が、いまの日本の文化にも影響を与えて、「がまんが大切なことだ」と考えられるようになりました。
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日本の文化には「みんながどう振るまうかや、どんなことをするかに」とても気を使う文化があります。この中で、ほかの人に迷惑をかけたり、恥ずかしい思いをすることはとってもよくないことだと考えられています。
これを「恥の文化」というんですね。この文化にはいくつかの特徴や背景があるみたいです。
日本の文化ではみんなが仲良く協力して生活することが大切だと考えられています。その中で一人ひとりが仲間として行動することがとても大事にされています。
個人の行動がみんなに影響を与えることが強調されていて、みんなが一緒にうまくやっていくことが期待されているんだ。もし個人がその中でおかしいことをしたら、それが恥ずかしいと感じることもあるんだよ。
日本ではみんなで話すときに、見た目や言葉遣いに気をつけることが大切とされています。ほかの人と違うことを無理にしないで、普通におしゃべりすることが好まれています。大きな感情を出すこともあまりせずに、静かに話すことがよいとされているわけですね。
たとえば満員電車でもいらいらを出さないで静かにじっとしていますが、これも周囲への配慮から来ていることともいえるんですね。
日本ではうっかりミスをすると、多くの人がちょっと恥ずかしいと思うことがあります。それはほかの人に迷惑をかけないようにいつも気をつけて暮らしているから、ことさらにすこしのミスを大きく捉えてしまうんです。
だから注意深く行動するひとが多くて、失敗することやまちがいをすることそれ自体を嫌うひとが多いといわれています。
まわりの人に影響を受けて人間が似てくる現象を「ミラーリング」と呼ぶことは知っていますか?
ミラーリングは「まわりのひとをまねする」こと。 相手とのコミュニケーションをじょうずに進めるために、気づかないあいだに使われているんです。
たとえば、相手のことばづかいや身ぶり(ジェスチャー)をまねすることで相手への共感を高めて、よりコミュニケーションを促すんだ。この現象は無意識で行われることが多くて、人間関係で重要な役割をしているみたいだよ。
外国人のみなさんは日本で長く働いているうちに、ミラーリングが関係して日本人と考え方が似すぎちゃって、こころのバランスを崩すこともあるんじゃないかな? そんな場合には、たまにもとの自分自身にもどって、力を抜くことができるといいですね。
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